薬剤師の年収が頭打ちになる傾向と対策について

『薬剤師って、いつ年収が頭打ちになるんだろう?』

『年収がほとんど上がらない・・・でもどうしていいのかわからない・・・』

こんな疑問や悩みをもっている薬剤師さんは意外に多いのではないでしょうか。しかし、上司や同僚に年収のことを聞くのは気が引けるもの。

そこで、こちらでは薬剤師の年収が頭打ちになる傾向と、その対策についてまとめてみました。年収が下がりはじめる平均的な年齢や業種別の傾向など、さまざまな角度から薬剤師の年収事情をみていきましょう。

薬剤師の年収が頭打ちになる平均的な年齢は?

薬剤師は他の職業と同じように、20代から50代前半までは年収が上がっていきます。しかし年収がピークに達すると、あとは定年までだんだんと下がっていくのが一般的です。

下の図は、年代別・男女別に薬剤師の平均年収を表したものですが、男女ともに40代までは順調に年収が上がっていきますが、50代からは下がりはじめているのがわかりますね。


出典:薬キャリ職場ナビ

ちなみに、薬剤師全体の平均年収は、2016年時点の統計によると、男性が「513.4万円」で、女性が「463.7万円」です。ただし、薬剤師の平均年収には地域差があるのをご存知でしょうか。

『薬キャリ職場ナビ』の『都道府県別 薬剤師年収ランキング(2017年版)』によると、1位の岩手県では、薬剤師の平均年収が「742.1万円」であるのに対し、もっとも低い福島県では「381.6万円」という結果になっています。

地域によって、これだけ平均年収に差があることに、おどろく薬剤師さんはきっと多いことでしょう。ちなみに、薬剤師不足の地方だと、勤務薬剤師でもかなりの年収を手にできる場合があります。

「年収の頭打ち」という言葉が口コミサイトにあふれているのはなぜ?

年収が上がりにくくなるのは定年が近い世代だけとは限りません。口コミサイトなどをみていると、働き盛りの若い薬剤師さんたちもからも「年収の頭打ち」という言葉がたくさん出てきています。

若い薬剤師さんの場合は、おそらく、完全に年収が上がらなくなる頭打ちではなく、ほとんど上がらないという意味の「横ばい状態」を意味しているのでしょう。

しかし、いずれにしても、実際問題として年収が上がりにくくなる年齢は、一般的にいわれているよりも、もっと早くおとずれる可能性があると認識しておくことは、長いキャリアプランを考えるうえでも大事です。

薬剤師が年収の頭打ちを避ける方法はある?

薬剤師が年収の頭打ちを回避する方法はいくつかあります。その方法について詳しくみていきましょう。

キャリアアップ

まず、ひとつめはキャリアアップです。大手のチェーン薬局でも、管理薬剤師や店長ぐらいまでなら、年収が大きく上がる可能性があります。

大手のドラッグストアならば、管理職以上になれば年収が600万円台や700万円台になることもあるでしょう。しかし、それ以上となると、薬剤師の仕事をするだけではなかなか難しいようです。

なので、管理薬剤師から経営の中枢をになうポストへ進むパターンが、中規模以上の薬局・ドラッグストアではよくみられます。近年では、薬剤師のキャリアパスの豊富さをアピールしている会社は増えてきていますね。

転職

薬剤師が年収の頭打ちを避けるためにとる最もポピュラーな方法は、やはりなんといっても転職ではないでしょうか。

年収重視なら大手よりも小規模薬局

大手で薬剤師が目指せる年収は、せいぜい700万円ぐらいがいいところですが、個人経営の薬局に管理薬剤師として転職すれば、年収1000万円に達することもあります。

ですから、単純に年収を上げるためだけであれば、多くの転職エージェントは大手ではなく小規模の個人薬局をススメる傾向が強いです。

勤務薬剤師の場合も同じように、年収を上げるには大手よりも個人薬局のほうが有利になりやすいかとおもいます。

大手よりも規模が小さい薬局のほうが年収の面で有利なのは、規模が小さい事業所ほど即戦力を採用する傾向があり、経営者との距離も近いため、エージェントが給与交渉をしやすいという事情があります。

しかし、いっぽうで中小の薬局は昇給制度が整っていない事業所も多く、転職したときの年収はよくても、その後に大きく伸びにくいということが指摘されています。

逆に大手は、転職時の給与交渉の余地は少ないですが、昇給制度が整っていて、キャリアパスの選択肢が広いというメリットがあります。また、研修体制がしっかりしているのも大手の魅力です。

未経験の人やブランクのある人が最初に基本を学ぶのなら大手、ある程度の経験がある人がさらに経験を積むのなら小規模薬局というように、転職先を選ぶときの規準もいろいろとあります。

調剤薬局以外への転職はどうか

職種別にみると、大きく年収を上げる選択肢として有力な候補となるのは、MRへの転職です。MRは30代で年収が800~1000万円に達することもめずらしいことではありません。

ただし、MRは営業職ですので、当然ですが向き不向きはありますし、営業成績がそのまま年収に直結するので、勤務薬剤師よりも精神的なプレッシャーが高い仕事といえるでしょう。

また、MRの中途採用は経験者採用がほとんどなので、薬剤師資格だけをもっていても選考の対象とならない場合が多いです。薬剤師専門のエージェントでも、MRの求人というのはあまり扱っていません。

調剤薬局よりも高年収になりやすい職種としてはドラッグストアもあげられますが、ドラッグストアで高年収を稼ぐには、調剤だけでなくOTCもこなす必要があり、なおかつそこにノルマも発生してきます。

残業をすればするだけ年収はあがっていくという仕組みになっており、店長や管理薬剤師になれば、年収700万円以上を手にしている人もいます。

ドラッグストアは、未経験の人でも働き方しだいで最初から高い年収を手にすることができますが、昇給幅は大きくないといわれることもあります。

ただ、ドラッグストア業界は人材の流動性が高い業界なので、どのくらいで薬剤師の年収が頭打ちになるかといったことについても、正確なデータはとりにくいようです。

ドラッグストアへの転職は、ワークライフバランスもネックになるので、年収が高くても転職先としての評価は慎重に下す必要があります。

いっぽう、薬学生に人気の病院は、やりがいは高い職種といえますが、年収の面では他の職種にくらべると見劣りしてしまうことがほとんどです。

例外として、公立病院などの管理職になれば、年収で700~800万円ぐらいをもらっている人もいますが、多くの人は600万円台が年収のピークとなり、700万円台には届きません。

病院で薬剤部長などのポストにつけるのは、厳しい競争に勝ったひとにぎりの人間だけなので、なかなか狭き門といえるでしょう。

共働き

年収の頭打ちを回避する直接的な解決策とはいえませんが、夫婦のどちらかが働いている状況なら、共働きをすることで収入にも余裕が生まれます。

年収が500万円くらいだと、子育てをしている世帯では、あまり余裕のある暮らしはできません。

でも夫婦で共働きをして500万円ずつの年収があれば、あわせて年収1000万円になりますから、家計もだいぶ楽になります。

独立開業

薬剤師が大きく年収を上げようとすれば、独立開業がいちばんの近道です。しかし、開業には数千万単位の資金が必要ですし、常に失敗というリスクがともないます。

現在は空前の調剤薬局バブルで、病院の前にお店を開けば何もしなくてもお金が入ってくるといわれたりもします。

しかし、経営は素人が手をだせるほど甘いものではありませんし、もうけ過ぎていると批判されている薬局が、そういつまでも甘い汁を吸いつづけられるわけでもないでしょう。

そう考えると、独立開業という選択肢は、だれもが気軽に挑戦できるものではありません。

ちなみに独立開業といえば、薬剤師が薬局を開くだけでなく、メディカルハーブなどの専門店を立ち上げるケースもあります。

これからの時代、薬剤師の開業のパターンとして、薬局以外の開業も、ある意味、可能性を秘めた選択肢として認識されてくるかもしれませんね。

ただ、その場合もやはりリスクがともなうので、実行にあたっては慎重に判断を下すようにしてください。

先を見据えた決断が大切

このページでは、薬剤師の年収が頭打ちになる傾向と対策について、さまざまな角度からみてきました。

もし年収が上がらなくなったら、まずはご自身が置かれている状況を客観的に分析し、問題解決のための具体的な行動を起こすことが重要です。

その際に、業界全体の年収事情を把握していれば、どのような行動が自分にとってベストな選択となるのかが、おのずと見えてくるとおもいます。

たとえば、定年が近い薬剤師さんであれば、年収が頭打ちになったタイミングで早めに再就職先さがしに取り掛かれば、有利な条件で再就職できるかもしれません。

いっぽう、現役世代バリバリで先のキャリアが10年、20年とある薬剤師さんならば、キャリアアップや年収アップのために、積極的に転職を考えてみるのもよいでしょう。

問題解決のための行動は人それぞれ違いますが、いずれの行動をとるにせよ、行動の結果を左右するのは情報収集です。

どのように行動していいのかがまったくわからないという人は、まずはキャリアアップの可能性はどうか、転職の可能性はどうかというように、ひとつずつ可能性を探ってみてはいかがでしょうか。

再就職や転職のことであれば、エージェントに相談することで、かなりの情報をカバーすることができ、具体的な提案を受けることもできます。好条件での再就職を希望する人や、年収アップの転職を模索している人は、ぜひ有効に活用してください。

ピックアップ

薬師専科の注目の記事を紹介するコーナーです。 今回は転職に役立つ記事をピックアップしてみました。