アンサングシンデレラは知られざる病院薬剤師の世界を描くこれまでにないドラマ。

アンサングシンデレラの表紙(Kindle)

「なんか薬剤師が主人公のドラマが放送されるらしいよ」

「え~たのしみー ! どんなドラマなんだろう … !」

薬剤師が主人公のフジテレビドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の放送がもうすぐスタートする。きっと薬剤師さんたちのあいだでも話題になっているのではないだろうか。

医療ドラマなら医師や看護師が主人公のドラマがおなじみだけれど、薬剤師が主人公のドラマというのは、わたしが知るかぎり、いまだかつてない。

『アンサングシンデレラ』というドラマの注目すべき点は、まずまちがいなく薬剤師が主人公であるという点だろう。これから放送されるドラマが、世間でほとんど知られていない病院薬剤師のリアルな世界を描いてくれると、わたしは期待している。

というわけで、ここでは、もうすぐ第1話が放送される『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の内容や、その原作となっているコミックに注目してみたい。

<お知らせ>
『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は2020年4月9日放送開始予定でしたが、放送スタートが延期となることが7日時点で発表されています。ドラマの放送をたのしみにまつことにしましょう。

アンサングシンデレラはどんなドラマになる?

この春からスタートする『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』はいったいどんなドラマになるのだろうか。

ここからは、ドラマスタートを目前に原作コミック(現在は3巻まで発行されている)をKindleでいっき読みした山下ナオが、ドラマの基本情報や見どころなどを紹介していきたい。

『アンサングシンデレラ』は病院薬剤師として日々奮闘する主人公・葵(あおい)みどりと薬剤部のメンバーが、チーム医療や医療連携などの課題と向きあっていくようすを描く物語である。

原作のストーリーでは大手ドラッグストアチェーンに勤務する中堅薬剤師の過酷な勤務実態なども描かれているので、ドラマのほうのストーリーも、薬剤師業界全体の課題にひろく目を向けていく内容になりそうだ。

原作の物語は各回ごとにテーマが決まっていて、毎回テーマに沿って物語が進んでいく。テーマは疑義照会、服薬指導、救急医療、チーム医療、患者とのコミュニケーション、医薬品の棚卸など多岐にわたる。

原作では、高額療養費制度終末期医療に薬剤師がかかわっていくようすなど、世間ではあまり知られていない病院薬剤師の仕事についてもリアルに描かれている。

また、緩和ケア薬薬連携といったホットなテーマ、接遇委員会といった病院独特の慣習などがテーマになる回もある。

ドラマの原作と作者は?

これから放送されるドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の原作はコミック『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』だ。

この作品の作者は荒井ママレさんで、医療原案を担当しているのは富野浩充さん。荒井さんは2009年にデビューした女性漫画家さん。富野さんは静岡の焼津市立総合病院薬剤科に勤務する現役の薬剤師さんであることがわかっている。

病院ではたらく現役の薬剤師さんが原案を書いているだけに、ストーリーも非常にリアルに感じられ、そのリアルさが読者にとっては新鮮だ。

だから病院薬剤師という存在があまり身近でないからといって物語を楽しめないということはまったくない。

もっとも原作は”薬学生のバイブル”とまで言われている人気コミックなので、そんなよけいな説明は不要だろう。

わたしはドラマの予習のために、ひと足早くコミックを読んだけれど、第1巻から最新巻の第3巻まで、いっき読みしてしまうほど夢中になってしまった。

ドラマのタイトル「アンサングシンデレラ」の意味や由来は?

ところで、コミックとドラマのタイトルとなっている『アンサングシンデレラ』にはどんな意味や由来があるんだろう、と気になっているひとも多いのではないだろうか。

アンサングは英語で「unsung」。「称賛されない」という意味がある。本来ならほめられるべき重要な仕事をしているにもかかわらず、世間からは正当に評価されていない人物。そんなかげにかくれた人物にたいしてつかわれる形容詞のようだ。

ちなみに英語圏では、そういうひとのことを「unsung hero(アンサングヒーロー)」や「unsung heroine(アンサングヒロイン)」といったりするそう。

『アンサングシンデレラ』は、薬剤師の仕事が世間にあまり認知されていない現状や、病院薬剤師が医師やそのほかの職種にくらべて低い立場とみられる傾向にあることなどからつけられたタイトルと理解して問題ないと思う。

原作の『アンサングシンデレラ』がそのままドラマのタイトルになっているところからも、薬剤師という存在を医療業界における「縁の下の力持ち」的存在として認め、たたえようではないか、あるいはそうあるように期待をこめようではないかという制作側の意思がつたわってくるようでもある。

主人公「葵みどり」の人物像は?

原作では、主人公の「葵みどり」は、入職(※)2年目ということになっている。後輩もいるが、みどり自身、まだ新卒のような雰囲気も感じとれる人物像となっている。

いっぽう、ドラマで石原さとみ演じる葵みどりはキャリア8年目の薬剤師という設定だ。もしかしたら、原作とドラマでは主人公の人物設定に若干のちがいがあるのかもしれない。

患者のために努力をおしまないところや、行動的で一直線な主人公の性格は、ドラマのなかでも継承されていくのではないかと思う。

<マメ知識>
病院は会社ではないので、一般的に、入社ではなく「入職」という。世間でいう入社式は「入職式」となる。ちなみに病院を辞めるのは「退職」でOK。

ドラマの鍵をにぎる登場人物は?

ドラマ『アンサングシンデレラ』には、原作コミックにも登場する物語の鍵をにぎる人物がでてくる。そんな登場人物たちと、それを演じるキャストを紹介していきたい。

瀬野章吾(田中圭)

みどりの先輩で薬剤部副部長。みどりが理想の薬剤師とし、背中を追いかける存在。

一見すると不真面目そうで、どこかアウトロー的な雰囲気もただよう瀬野だが、患者のために努力する姿勢や、旧態依然とした病院のしくみを変えてチーム医療を実現していこうとする情熱をもちあわせる熱血漢でもある。そのため、ときには医師から煙たがられたり衝突したりもするが、みどりが熱くなったときに落ちつかせる先輩薬剤師らしい一面ももっている。

原作コミックのなかに登場する瀬野は喫煙者で、院内の「かくれたばこスポット」で喫煙するシーンもある。コミックのなかの瀬野は強面(こわおもて)だが、田中圭さん演じる瀬野は”さわやかなイケメン上司”になる可能性大!?

ピッキング

羽倉龍之介(井之脇海)

みどりの後輩。典型的な理系男子。薬剤部のムードメーカー。みどりからは「ハク」と呼ばれているが、あらたまったときだけ「羽倉くん」と呼ばれる。よけいなことに首をつっこみたがらず衝突も好まないおとなしい性格。羽倉はドラマ全体の雰囲気をつくっていく重要な役になりそう。しかし羽倉には、「明るい笑顔の裏には、薬剤部のメンバーも知らない顔を持っている … 」というイミシンなネタバレ情報も。

相原くるみ(西野七瀬)

新人薬剤師。原作に登場するくるみはみどりの頼れる同僚という設定だが、ドラマでは新人薬剤師という設定になっている。

『アンサングシンデレラ』の公式サイトでドラマ第1話のストーリー紹介に目を通すと、第1話の鍵をにぎるのはくるみのようだ。患者のためにつくしても感謝されるのは医師だけ … 。くるみはそんな疑問をみどりにぶつけるが、みどりは「感謝されたいなら薬剤師は向いてない」ときっぱりと答える。はたして第1話はどんな展開になっていくのだろうか … 。

刈谷奈緒子(桜井ユキ)

薬剤部主任。原作では大手調剤薬局から萬津総合病院薬剤部に転職してきた設定。沈着冷静で合理主義。「鉄の女」の異名をもつ。

ついつい患者に深入りしてしまうみどりとはまったく対照的な上司だが、みどりがしだいに刈谷の考え方を理解するようになっていくようすが原作では描かれている。大手調剤薬局の店長というポジションにいながら、なぜ総合病院に転職してきたのか … 個人的には気になるところ。謎めいた役どころでもあるが、刈谷の存在はドラマのなかでも複雑な香りをただよわせるスパイスになりそうだ。

ドラマの見どころは?

このあたりで、原作を読んだ筆者がドラマの見どころを予想してみたい。おそらく劇中では、つぎのようなシーンが見どころとなるような気がする。

<見どころ予想1>薬剤師のやりがいと存在価値

公式サイトでは、すでに第1話のテーマを予感させる描写が掲載されている。それが、医師にしか感謝をしめさない患者家族にたいして相原くるみが疑問をいだくシーン。

ちなみに、原作コミック第1巻も、「もしかして … 薬剤師っていらなくない?」というみどりの心の声からスタートしている。

<見どころ予想2>薬剤師と医師の衝突

医師の処方せんに疑義をかけるのは薬剤師の重要な仕事。しかし、それにもかかわらず、疑義照会は医師からはいやがられ、ときには嫌味をいわれたりもする。現に原作ではそういうシーンがたびたびみられる。

瀬野やみどりが医師たちとどのように対峙するのか、いまからたのしみだ。

<見どころ予想3>病院薬剤師の仕事

病院薬剤師がどのような仕事をしているのかということは、ほとんど知られていない。おなじ薬剤師でも畑がちがえば、まったく知らないということもある。ドラマが病院薬剤師の仕事をリアルに伝えてくれることを期待したい。

<見どころ予想4>専門用語

『アンサングシンデレラ』は薬剤師のドラマなので、薬剤の名称や、医療に関連する専門用語もたびたび登場することが予想される(原作ではよくでてくる)。そういった部分も多くの視聴者が興味をしめすことになるだろう。

<見どころ予想5>病院ならではの慣習

病院には病院ならではの慣習というものがある。それがコミック第2巻に登場する「接遇委員会」なるものだ。こういった、世間では知られることがない病院ならではの慣習というものも、見どころのひとつになるだろうと予想している。

<見どころ予想6>みどりと瀬野の関係

『アンサングシンデレラ』は、ジャンルとしては社会派ドラマとなる思われるが、やはりドラマなので、恋愛のエッセンスも多くのひとが期待する部分ではないだろうか。

主人公の葵みどりは、先輩薬剤師である瀬野章吾を尊敬しているが、はたして尊敬の気持ちが恋愛感情に発展していくのか、そんなところも注目してみてみたい。

 

アンサングシンデレラは病院薬剤師を志す人たちの希望の星になるかもしれない

薬学生に多大な影響をあたえているコミック『アンサングシンデレラ』。原作はすでに薬学生のバイブルともいわれるほど人気を博している。原作コミックを知らない薬剤師さんや、まだ読んだことがない薬剤師さんも、ドラマにはきっと夢中になるにちがいない。

医師や看護師のドラマを観てその道を志すひとがふえるように、ちかい将来、「『アンサングシンデレラ』を観て病院薬剤師になろうと思いました!」と元気よく志望動機をかたる志願者や新卒者がふえたり、薬局薬剤師から病院薬剤師に転身するひともふえていくのかもしれない。

おわりに

ドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は、病院薬剤師の仕事をリアルに描くはじめてのドラマだ。

調剤薬局やドラッグストアではたらく薬剤師さんたちは、ときとして、「薬剤師って必要なのかな」とか「なんのために薬剤師になったんだろう」という気持ちになることもあると思う。

だけど、ドラマをみて病院薬剤師の仕事にたいして理解が深まれば、薬剤師という職種の存在意義にあらためて気づくことができるのではないだろうか。そしてそれはおそらく、薬剤師以外のひとたちもおなじだろう。

なんといったって薬剤師は、「患者さんを守る最後の砦(とりで)」なのだから!

マイナビ薬剤師

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