薬局製剤って何?

薬局製剤という用語は、薬のプロである薬剤師さんなら、一度は聞いたことがあるかもしれませんね。でも、業界の中でも頻繁に使われる用語ではないようなので、言葉を聞いただけではピンとこない人も多いはず。

薬局製剤って何?

薬剤師さんの仕事に携わるようになって数年のわたしも、先日、ある会社の事業内容を調べているときに初めて知ったので、これは勉強のチャンスと思い、調べてみました。

下記に、わたしが薬局製剤について調べた内容をまとめておきますので、「薬局製剤って何?」と興味をもった人は、この機会に、ぜひ言葉の意味を確認しておいてください。

薬局製剤とは?

薬局製剤とは、薬局で調合して販売する薬のことを指します。この説明だけだと、ふつうの処方薬と同じですが、薬局製剤は処方薬とは違い、医師の処方箋を必要としないのが特徴です。

とはいっても、薬局製剤をおこなうためには、各都道府県知事の許可を受ける必要があり、薬の成分・分量なども厚生労働省の『薬局製剤指針』によって細かく定められています。そのガイドラインに従って薬を調合するのが薬局製剤です。

認可を受けた薬局だけが製造・販売することができる薬局製剤には、カゼ薬から漢方薬まで、多種多様な薬があります。薬局製剤の品目は、国内ではじめて行政通知がおこなわれた1958年当初には47品でしたが、2017年現在では430品目以上が指定されており、その半数以上を漢方薬が占めている状況です。

なぜ薬局製剤がおこなわれるのか?

薬局製剤をつくるためには、許認可を受けたり、設備を用意したり、材料を仕入れて在庫を管理したりと、始めるにはなかなか敷居が高い面もあるようです。そのイメージのせいか、実際に薬局製剤を扱っている薬局は、全体の半数にも満たないのが現状で、しかも年々その数は減り続けているようです。

また、薬局製剤と同種の薬は、市販薬としても販売されているため、その必要性を疑問視する声も聞かれます。しかし、薬局が薬局製剤を扱うのには、何か理由があるはずです。そこで調べてみると、薬局製剤をあえて扱うのには、薬局側に次のようなメリットがあることがわかりました。

他の薬局と差別化できる

薬局製剤として製造・販売できる薬の品目は、先にも触れた通り、厚労省の指針によって明確に決められているため、薬の成分や効き目は、どの薬局で処方を受けても同じです。

しかし、それをおこなっている薬局は少ないのが現状ですし、患者さんから見れば、薬局製剤の薬は、お茶やコーヒーにたとえれば、そのお店だけのオリジナル・ブレンドのようなものです。つまり、薬局製剤の薬は、薬局にしてみれば商品価値が高く、患者さんからすれば希少価値が高く、大変ありがたいわけです。

もし薬局で「ふつうの薬局やドラッグストアでは手に入らない商品」というキャッチコピーを見たら、なんか効きそうな感じがしませんか?

また、薬局製剤は顧客への訴求効果が高い商品ですし、扱っている薬局が少ないという意味では、リクルートにおいても他社・他店との差別化のポイントになります。

薬局のブランドイメージを高めるといったら大げさかもしれませんが、口コミやネットの宣伝効果なども考慮すれば、けっして言いすぎではないと思います。

薬局製剤は原材料価格が安く、販売価格は薬局が自由に決めることが出来るので、うまく取り入れれば、それなりの収益が期待できる事業にもなるようです。包装やキャッチコピーを工夫したりすれば、より魅力的でおもしろい商品にもなります。

薬局もオリジナリティがないと経営がむずかしい時代になってきました。地域密着型の個人薬局は、経営努力によって新たな道を模索する必要に迫られています。その際に、薬局製剤は差別化の切り札となりうるかもしれません。

かつては、薬局製剤を扱っている薬局は多かったそうですが、OTC医薬品の普及にともない、現在は影をひそめています。そういう時代だからこそ、逆にその価値をあらためて見直してみるのもよいのではないでしょうか。

薬局製剤は薬剤師に”やりがい”をもたらす?

ところで、薬剤師さんの側から見た場合、ふつうの調剤作業と薬局製剤の製造では、いったい何が違うのでしょうか? その答えは、仕事の”やりがい”にあるようです。

処方箋調剤は、医師の処方箋にもとづいて調剤をおこなうので、見方によっては受け身の仕事といえるかもしれません。一方、薬局製剤は患者さんの病状を問診で聞き出して、その症状を改善するための薬を調合します。

つまり、ふつうの調剤に問診というプロセスが加わるわけです。(つくって店頭に並べておくだけの薬局もあるようですが。)たったこれだけのことですが、実際に薬局製剤に携わったことがある薬剤師さんの感想を読んでみると、仕事のやりがいは大きく違うようです。

薬局製剤は、定められた品目のなかから、薬剤師が独自の判断で必要な薬を選んで調合します。扱うことができる品目は限られますが、その種類は数百種類もあり、どんな薬を選んで調合するか、どんな売り方をするかは、薬局薬剤師の腕の見せどころなわけです。

薬局製剤は、薬を処方して「ハイおしまい!」というわけにはいきません。そのあとに効き目がどうだったとか、フォローが必要です。もちろんOTC医薬品だって同じですが、薬局製剤の製造・販売は、患者さんとより深くかかわることになるため、薬剤師としての責任をしっかりと感じることができ、やりがいも大きいはずです。

けれど、そういうプロセスは面倒で、労力と根気も必要とするため、どの薬局でも出来るわけではありません。それこそ、患者さんの、ほんとうの意味での「かかりつけ薬局」でなければ出来ないことです。

だから薬局製剤は、全国展開するような大規模チェーンよりも、地域密着でじっくり患者さんと向き合い、深くかかわっていこうとする小規模経営の薬局のほうが向いているといえます。

かつて、町の薬局が地域住民の健康相談所だった時代、その頃の原点に立ち返って考えてみれば、薬局の未来はおのずと見えてくるのかもしれません。

薬局製剤を体験するには?

薬学生が薬局製剤を体験するには?

民間の薬局や各自治体の薬剤師会などが主催する薬局実習・インターンシップのなかには、薬局製剤の実務を体験することができるプログラムがあります。ネットで「薬局製剤 体験」と検索すると、さまざまな情報が出てくるので、興味がある人は個々に調べてみてください。

仕事として携わりたい場合は?

もし在職中の人が薬局製剤を経験してみたいのであれば、勤務先の会社で仕事として携わることができるか、確認してみてください。

就職先または転職先で薬局製剤に携わりたい場合は、薬局製剤の許認可を受けている薬局を探す必要があります。しかし、薬局製剤を扱っている薬局は、先にも述べたとおり、非常に少ないのが現状です。

どれぐらい少ないかは、主だった転職サイトで「薬局製剤」というキーワードを検索してみればわかります。全国を対象としても、実際、数えられる程度の案件ぐらいしかヒットしません。

ただし、転職サイトの検索結果にあらわれる求人数は、サイトの訪問者向けに公開している求人の数です。ご存知かもしれませんが、転職サイトで求職者登録をすると、非公開の求人情報を閲覧したり、紹介してもらうことが出来ます。

また、希望の求人が見つかったときに連絡してもらったり、希望条件に合わせて求人を探してもらうことも可能です。薬局製剤に携わることができる求人を探されている方は一度問い合わせておくことをオススメします。