薬剤師レジデントは、薬剤師が働きながら学ぶことが出来る画期的なシステムですが、日本ではまだ歴史は浅く、業界の中でもこの制度について知らない人が多いようです。

 

薬剤師レジデントとは?メリット・デメリットも含めて解説

 

こちらの記事では、「薬剤師レジデントって、どんな仕組みなの?」「研修生とはどう違うの?」といった基本的なところから、レジデントになるメリット・デメリットまで、幅広く解説したいと思います。ぜひ参考にしてください。

 

レジデントと研修生の違い

日本で薬剤師レジデントがスタートする以前、薬学部を卒業後に臨床研修を受けられる機会は、大学病院がおこなう薬剤師研修生制度だけでした。研修生は教育費を支払い教育を受けるわけです。

 

ところが、薬剤師レジデントの登場によって、状況は180度変わります。研修費を払うのではなく、逆にお給料をもらえるようになったのです。レジデント制度では生活が保障されるため、以前よりも多くの薬剤師に学びの機会が広がったといえます。

 

研修のイメージ

 

日本ではまだ新しい制度

わが国で薬剤師レジデントがスタートしたのは、2002年に北里大学北里研究所病院が独自のプログラムを導入したのが最初だといわれています。すでにアメリカでは、働きながら研修を受けることが出来るレジデント制度は定着していましたので、日本はそれに倣ったかたちとなります。

 

2011年時点に薬剤師レジデントを実施していたのは、わずか10施設でしたが、2012年には26施設、2013年には35施設と増えていき、2017年現在では全国で約40以上の施設が導入しているようです。

 

とはいえ、レジデントプログラムを受講できる施設が1つもない都道府県もまだまだ多く、制度の普及が急がれます。この薬剤師レジデント制度のもうひとつの課題は(あえて”制度”といっていますが)、いまだ公的に認可された制度ではなく、研修内容などは、それぞれの機関に委ねられていることです。

 

この背景には、レジデント修了生の多くが、大学・病院の関係施設に採用されているという現状もあると思います。いずれにしても、一定のスキルを兼ね備えた臨床薬剤師を育成するためには、その資質を認定する仕組みや制度化は必須といえるでしょう。

 

レジデントのメリット・デメリット

レジデントになるメリットとデメリットが気になる人も多いようなので、考えられる点を整理してみたいと思います。まず、メリットといえる点ですが、大学病院のレジデントプログラムを修了すれば、そこで職員になる道が開けます。

 

また、その経歴を活かして病院や薬局に就職したりすることも可能ですし、大学教員になるというキャリアパスを歩むことも可能です。レジデント制度は、まだ制度化されていないとはいえ、キャリアアップにおいては大きな武器となります。

 

教育を受けながら、お給料までもらえるわけですから、意欲のある人がレジデントとして採用されれば願ったり叶ったりでしょう。世間一般の大学院だって、私立であれば年間数百万という学費がかかります。そう考えても、やはりレジデントは恵まれた待遇といえます。

 

ただ、レジデントになる以前に、将来のキャリアパスやビジョンといったものをしっかり考えておくことは大事です。そうでないと、せっかく高度な教育を受けても時間のムダになってしまいますし、教育を受けたことによって普通の職場では満足できなくなる可能性もあります。

 

高学歴の人によくありがちな話ですが、雇用する側にとって使いづらい人間になってしまうということもあるでしょう。志望動機をきちんとまとめておくことは、選考試験対策のためだけでなく、自分の将来の方向性をある程度決めておくことにもなります。なので、しっかりやっておくべきです。

 

ちなみに、よく失敗談として聞くのは、レジデント終了後に、その経験を活かせる職場に就職しなかったため、同期に遅れをとってしまったという話です。くれぐれも、レジデントの期間が”入院”期間にならないように、注意してください。

 

「考える」のイメージ

 

新卒者だけでなく社会人も対象

薬剤師レジデントの多くは、大学・大学院を卒業した新卒者を対象としたプログラムですが、薬剤師として一定年数の経験がある社会人を受け入れている大学病院などもあります。応募条件はプログラムの実施機関によって様々ですが、レジデントの約半数が社会人で占められている大学病院も存在するほどです。なので、やる気があれば道は開けると思います。難しいと思わずに、ぜひ挑戦してみてください。

 

飛躍のイメージ

 

レジデントの給料と待遇は?

レジデントの給料や待遇に関しては、募集要項を確認すればいいわけですが、タイミングによっては見つからない場合もあります。

 

そこで、少し古いデータとなるのですが、日本薬剤師会が2013年にまとめた『卒後臨床研修としての病院薬剤師レジデント制度に関する 調査・研究』を紹介することにしたいと思います。

 

同報告書によると、もっとも多いのが「正規職員に準じて支給」で10施設。次に、「15~20万円未満」が9施設、「20~25万円未満」8施設と続き、「25万円以上」が2施設、「15万円以下」が1施設という結果となっています。

 

なお、この時の調査では、未回答の施設も2施設あります。ですが、正社員に準ずる給与をもらえる施設が一番多く、15万円以下が1施設だけだったのは、意外な結果でした。

 

レジデントは職員扱いですので、基準により社会保険も適用されます。また、交通費などの手当が支給される場合もあります。この辺は病院ごとに違うので、応募を考えている方は、よくチェックするようにしてください。

 

「ナルホド!」のイメージ

 

プログラムの内容はさまざま

レジデント制度は、行政主導ではなく、個々の病院が独自に発案したプログラムに沿っておこなわれますが、その内容は大きく二つ分けられます。一つは臨床業務全般を幅広く学ぶコース。もうひとつは、がん治療のような専門的な分野に特化したコースです。

 

前者は、いわゆる”スーパージェネラリスト”を要請するコース。後者は、スペシャリストを養成するコースといえます。これを、新卒者向けのコースと社会人向けのコースというふうに分ける人もいますが、かならずしも、そういうわけではありません。

 

レジデントの期間も、1年から最長5年まで様々です。(1,2年という病院が多いです。) 薬剤業務・病棟業務を経験しながら、年次が上がるにつれてより専門的、あるいは実践的な領域に踏み込んでいくというのがレジデントプログラムの一般的かたちとなっています。

 

また、論文の制作・発表をカリキュラムに取り込んでいる場合もあります。

 

研修のイメージ

 

レジデントになるには?

レジデントに応募を考えている人は、まずどの施設でプログラムを実施しているのかを調べておきましょう。募集情報は、制度を実施している各施設のホームページに掲載されることがあります。また 日本薬剤師協会 なども情報を公開しています。

 

薬学生であれば、大学の就職課で、過去に同じ大学からレジデントの採用実績があるかといったことも調べておくとよいでしょう。

 

まずは何といっても情報収集が先決ですが、都合が悪いことに、募集開始のタイミングや期間は施設によってマチマチなので、リストをつくって漏れのないようにしておくと良いと思います。今後は新たにレジデント制度を導入する機関も増えてくるでしょうから最新の情報も要チェックです。

 

ちなみに、レジデントの募集は一般の求人情報サイトに掲載されることはありませんが、薬剤師求人サイトであれば非公開の求人情報としては扱っているので、薬キャリ などに登録して募集情報を随時知らせてもらうようにするのも賢い情報収集の方法です。

 

ある程度情報が集まってきたら、自分が望むキャリアパスを意識しながらプログラムの内容や教育体制を吟味し、候補を洗い出します。

 

それが済んだら、具体的な試験対策に入るわけですが、身近にレジデントの経験者がいない場合は、自分で選考の難易度や対策に関する情報を入手するのは難しいです。大学の就職課や薬剤師求人サイトをフルに活用して情報を集めるようにしてください。

 

なお、これは筆者の経験上の話ですが、大学教授は就職や転職のプロではないので、100%と思わずに、キャリア相談は出来るだけ多くの人に会い、相談しておくことをオススメします。参考にしていただければと思います。

 

メモのイメージ

 

まとめ

  • 研修生は教育費を支払う学生という立場だが、レジデントは教育を受けながら給料をもらう職員である
  • 薬剤師レジデントの”制度化”は、まだ行われていない
  • 薬剤師レジデントを利用すればキャリアアップにつなげることが出来るが、明確なキャリアビジョンをもっていないとブランクになる危険も
  • 社会人が応募可能な薬剤師レジデントも存在する
  • レジデントの給料や待遇は施設によってさまざま
  • レジデントになるには情報収集が先決

 

薬剤師レジデント募集施設一覧

下記に、薬剤師レジデント制度を取り入れている施設をリストアップしておきます。ホームページに募集要項が出ていない場合は直接問い合わせてみてください。

●東北
・秋田大学医学部附属病院
●関東
・練馬病院
・亀田総合病院
・北里大学病院
・北里大学東病院
・北里大学メディカルセンター
・群馬大学医学部附属病院
・順天堂大学医学部附属順天堂医院
・地方独立行政法人神奈川県立病院機構
・国立がん研究センター中央病院
・国立がん研究センター東病院
・国立国際医療研究センター病院
・国立成育医療研究センター
・昭和大学統括薬剤部
・千葉大学医学部附属病院
・筑波大学附属病院
・茨城県立中央病院
・東京女子医科大学病院
・藤沢湘南台病院
●東海
・静岡県立総合病院
・半田市立半田病院
・名古屋大学医学部附属病院
・三重大学医学部附属病院
・岐阜市民病院
●北陸
・金沢市立病院
・石川県立中央病院
●近畿
・兵庫県立病院
・兵庫県立柏原病院
・兵庫医科大学病院 
・兵庫県立こども病院
・兵庫県立尼崎総合医療センター
・兵庫県立姫路循環器病センター
・国立循環器病研究センター
・堺市立総合医療センター
・神戸大学
・神戸薬科大学
・神戸市立医療センター中央市民病院
・神戸市立医療センター西市民病院
・神戸大学医学部附属病院
・淀川キリスト教病院
・京都大学医学部附属病院薬剤部
●四国
・愛媛大学医学部附属病院
・岡山県精神科医療センター
●九州
・福岡大学病院

 

おわりに

上述したように、薬剤師レジデント制度は、現在のところ厚生労働省や薬剤師会に認定された制度ではないため、実施している施設をすべて調査することが困難な状況です。そのため、ここで紹介した以外にもレジデントを募集している施設はあると思われますし、今後もますます増えてくると思います。

 

さらに、病院だけでなく調剤薬局のなかにも、レジデント制度を導入している薬局があります。(そういったものまで薬剤師レジデントに含めるべきかという疑問はありますが)

 

すべてのレジデントプログラムがキャリアアップにつながるわけではないので、目標とする進路を考えながら施設を選ぶことが大切です。

 

関連記事:『兵庫医科大学病院の薬剤師求人傾向とレジデント制度について』

 

 

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